なぜ読解力は必要なのか
「うちの子、読解力がないんです」という相談をよく保護者の方から受けていました。
また「自分は読解力がないから国語の問題が苦手だ」と言っている生徒さんもいました。
しかしながら、最近の定期テストや入試問題の傾向としてこの「読解力」を問う問題が増えてきています。
本記事では、テストや入試で点数を取るための読解力の付け方をメインで取り上げますが、実戦的な意味での読解力についても記事の後半で少し取り上げます。
読解力のつけかた
②文章読解のテクニック(説明文、物語文、古典で少しちがいます)をつける
③文章読解の練習をする
この3つのステップを踏むだけです。
しかし、読解力は上の「語彙力」によってほぼ9割決まるといっても過言ではありません。
読解力の基礎となるのは語彙力
読解力の土台は、なんといっても語彙力 です。
言葉の意味をできるだけたくさん知っていること(インプット)×言葉を正しくつかうこと(アウトプット)を日常生活でどれくらいやっているか で差が出てきます。
・インプットに必要なこと
まず文章を読むためには、漢字の知識が必要なので、学校で習った漢字は読めるようにすること、教科書で出てきた意味がわからない言葉は(小学生のうちは紙の)辞書で調べる ようにします。
学校の音読の宿題は絶対にやってください。
音読すると、文章の内容も頭に入ってきやすくなりますし、意味がわからない言葉はそもそもどこで区切って読んだらいいかわからないので洗い出すことができます。
さらにあらゆるジャンルの本を読んでおくと、飛躍的に知っている言葉の数は増えていきますし、その言葉の使われ方もわかります。また、速読の訓練にもなります。
注意点はあらゆるジャンルの本を読む 、ということです。
うちの子、本はよく読むのに、なかなか国語の点数がとれなくて・・・。
というお声を保護者の方からよく聞くのですが、この場合、たいてい”本”というのは物語だったり、小説をさすことが多いです。
テストや入試には科学や、社会、文化などあらゆるジャンルから出題されます。
これらが出題されたとき、バックボーンに理科や社会的な知識がある程度ないと、読むことは難しいでしょう。
もちろん、お子様の好きな本を読むことを尊重しながら、いろんなジャンルの知識を吸収できるようにまずは漫画や子供向け雑誌から手に取ってもらう ことをおススメします。
言葉系
↑まずはこれ!ことわざや慣用句等をつかった表現も説明文、物語文を問わず出てきます。
お子様にとって慣れない言葉が多いと思うので、漫画等でこれらの言葉のイメージを先にもっておくと役立ちます。(中学入試には必須です)
科学系
↑付録もあって、手を動かしながら楽しめる。(対象小2~小6)
↑対象は小学校高学年から中学生。大人もすごく楽しめる。
私も小学生の時、読んでいました。
社会系
偉人たちの伝記
当時の時代背景や文化を知るのに役立ちます。
社会の勉強にもなる!
↑文量も多くないため、低学年の方や、本を読むことが苦手なお子様向にもおススメ。
↑日本の古典シリーズ。
こちらも漫画でもいいです。
文化の話が出てきたときに有利です。また古典の勉強の先取ができます。
※中学入試難関校の受験を考えている方は、岩波ジュニア新書がおススメです。
・アウトプットに必要なこと
言葉の意味をできるだけたくさん吸収したら、自分でつかってみる
ということが大切です。
アウトプットの方法はたくさんあります。
新しく知った言葉をつかって、
・日記を書いてみる
・手紙を書いてみる
・誰かに話してみる
※日記や手紙は、SNSではなく紙やノートに書く方が効果的です。
実際に言葉は自分でつかってみなければ、自分のものにはならないし、本当の意味での語彙力はつきません。
最初はつかいかたが間違っていてもかまいません。まず、つかってみることが大事です。
前述の本をお子様が読んだときに本の感想をお子様に聞き、説明させてみましょう。
「たのしかった」とか「おもしろかった」しか出てこなければ、「どういうところがたのしかったの?/おもしろかったの?」「どのことわざが気に入ったの?それはどうして」など、できるだけ掘り下げて聞いてみます。
ここで大事なことは、途中でお子様の言っていることをさえぎったりせず、最後まで聞くこと、肯定的に聞くことです。さえぎったり、否定的な言葉をかけると、お子様は話しづらくなります。
ツッコミどころがあっても、指摘するのはお子様が話し終わるまで我慢してください(笑)
問題演習をしてみる
語彙力をある程度身につけたら、実際に問題演習をしてみましょう。
ある程度の”慣れ”が必要です。
実は塾などの出番ここ(②、③)からです。
接続語の働きや、言い換え表現、比喩の役割など、文章を読み進めたり、問題で問われやすいポイントをおさえるためのテクニックを授業で取り扱うのですが、ここでのテクニックは「語彙力」があってはじめて役立つものです。
(テクニックについては長くなるので、ここで詳細を書くことは割愛します)
保護者の方に知っておいていただきたいのは、塾の授業中に扱えるのは②、③の内容からです。授業内で出てきた言葉の意味についてはお子様に伝えることができても、限りがあるため、塾以外の時間でできる限り語彙力をつける練習をしていただきたいですし、保護者の方にもご協力(特にアウトプットの部分)いただきたいということです。
テクニックを知らなくても大人顔負けの語彙力を持っていて、その語彙力だけで問題を解けるお子さんも実際にはいらっしゃるくらいなのです。
知らなかった言葉の意味についてインプットとアウトプット繰り返す ことで、やっと本人のものになります。国語の成績が簡単にあがりにくい理由はここにあります。
小学校低学年のうちから語彙力は少しずつ養いたいものですが、そうはいっても時間的に余裕がないお子様もいらっしゃると思います。
その場合は、語彙力をつける練習と、問題演習を同時にやってください。
語彙力のインプットは、長期休暇を使うのがおススメです。
実戦的な意味での読解力とは?
ここまでテストや入試で点数をとるための読解力についてのお話ですが、読解力が本当に必要になってくるのは大人になってからだと思います。
社会人になって会社に入社するときに渡される社内規定。
公的機関等から補助金を受けとるときの申請の仕方。
他にも例を挙げればキリがないですが、社内規定だったり、補助金の受け取り方の説明って、長文だったり、専門的な用語が使ってあったり、なじみのある言葉では書いてないですよね。そうなったら、長かろうが意味がわかるまで読まざるをえないですし、わからない言葉は、自分で調べるしかありません。
テストや入試では、×をつけられるだけですが、こういった書類で、「ちゃんと読んでいなかった」「知らなかった」、「自分が思った解釈とちがっていた」では、済まされないこともありますし、とんでもない不利益を被ったり、損をすることだってあるのです。
保護者の方にお願いしたいのは、お子様に入試要項(特に試験実施上の注意事項)には必ず、目を通してもらい、(愛知県の公立高校入試の場合ですが)「持っていくものは?」「持ち込んではいけないものは?」「筆記用具はどんなものはダメ?」は最低限確認していただきたいということです。
試験上の注意等は、学校から事前指導が入るとは思いますが、入試要項の内容は知らなかったでは済まされないので、お子様自身でも確認する必要がありますし、究極の読解力が必要になる場面だと思います。